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2011年 02月 05日 ( 1 )

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★★★★
水を打つ   ・・・・・#1107

堂場さんといえば、今年の初読書
「長き雨の烙印」(こちら)が記憶に新しいところですが
実はこの方、警察小説だけではないのですよね。
スポーツ小説がまたおもしろいのです。

今回はタイトルからお分かりでしょうが舞台はプール。
競泳を題材にした小説って珍しい気がします。

前回五輪のメドレーリレーで僅差でメダルを逃し、その雪辱を期している自由形日本記録の矢沢。
前回五輪で銀メダルを獲得するものの、自らの限界を感じて現役を引退。
その後ナショナルチームのコーチとなる今岡。
その今岡を弾き飛ばした存在で、新型水着「SF-1」をつけて次々と記録をたたき出す傲慢小泉。
そして、高性能水着を武器に世界のスポーツ用品メーカーとして躍進を遂げようと奔走する、久本。
この4人を軸として、それぞれが思惑を胸に五輪への道を目指します。

個人競技におけるリレーとはどんな意味があるのか。
またツールとしての水着とは一体何なのか。
五輪前哨戦の「世界水泳」から始まり、
オリンピック本番での400メートルメドレーリレー決勝まで、ぐいぐい引き付けられてしまいました。

基本的には個人競技である水泳ですが、リレーはチームとして闘わなくてはならない。
小泉という異分子を入れることによって生ずるひずみ。
個々の人間性がより細やかに描かれることになり、なお面白くなっています。
このあたりは学連選抜として箱根を走る「チーム」(こちら)の扱いと似ていますね。

そしてもうひとつの軸となる、メーカー目線のオリンピック。
前回の(実際の)オリンピックで話題となった、
スピード社の「レーザーレーサー」がいやでも頭に浮かびますよね。

せっかくのハイテク水着を完成させながらも
欧米水連への発言力、政治力のなさで
オリンピックでの使用ができないかもしれない。
ここで物語りはまた別の局面を迎えることになるのですが・・・
このあたりでやめておきましょう。

開発担当の久本の言葉
「あの水着は、一種のドーピングかもしれない。
ハイテク水着は人の弱点をカバーしてくれるけど、
それは正しいことなのかな」
というのが印象的でした。

(余談)
今年に入ってから読むものは何故か上下ものが多い。
次はいよいよあの百田さんの書き下ろし超大作。
これまた600余ページもある分厚い上下だぁ。

by noro2happy | 2011-02-05 20:53 | book