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一瞬の風になれ

ヤバイよこの本。
マジ、感動した。
大体40を過ぎたおばさんが、なんで高校生のこと、こんなリアルに書けるわけ?
っていうか、陸上のことなんか全然知らなかったって言うじゃん・・・。
ありえねーっつうの。


なーんて、ずーっと主人公の新二になりきって読んでいたもんで、読後の感想はこんな感じでした。

この間ちょっと書きましたが、佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ 1~3」読み終えました。
期待した以上によかったです。
去年から話題にはなっていましたが、スポコンものか、宿命のライバルとのギラギラもの(?)くらいに勝手に思い込んでいたもので、すっかり後れを取ってしまいました。
私のような勘違い者のためにあらすじをちょこっと。

新二の両親は熱狂的なマリノスサポーター。
2歳年上の兄、健一は将来を嘱望されるサッカー選手。
こんな家庭に育った新二も当然のようにサッカーをやっていたのですが、兄のようにはなれない自分の才能に、限界を感じていました。
そんな時、幼馴染みの連に言われた「ボールなんかなければ、おまえ、もっと速いのに」の一言。
その連はといえば、中学から天才スプリンターと騒がれていたのに、「練習たりィーし」と、さっさと部活をやめてしまい、何に情熱を感じるでもない、醒めたやつ。

新二はもう一度連に走らせたいと思い、連は「おまえが走るんだったら」と、二人は大した実績もない公立高校の陸上部へ入ります。
本当の物語はここから始まります。
<第1部>は陸上部に入った1年生の二人の様子。
有り余るような才能を持ちながら真面目に部活をやらない連。
常に自分の目標で、前にいて走って欲しいと思って憤る新二。
二人の友情だけでなく、同じ部活の個性的な仲間、先輩、なんと言ってもユニークな顧問のみっちゃんこと三ノ輪先生。
ピッチとフィールドの違いに戸惑いながらも、新たな可能性を見出した新二は、いつしか走ることの面白さに目覚めていきます。

<第二部>では2年生になった新二と連。
「球技で芽が出なかった選手の中には短距離に向いているやつがいる」というみっちゃんの言葉どおり、どんどん走るスピードを上げていく新二。
そんな中、新二の心を大きく揺るがすアクシデントが起こってしまいます。
ジュビロ磐田のサテライトで活躍し始めた兄にまさかの悲運が・・・

<第三部>3年生になった新二は、県有数のベストタイムを持つ選手に成長します。
果たして彼は連に追いつくことができるのか。
100と200メートルでインターハイ出場権をものにした新二ですが、念願のリレーは・・・
バトンはうまく繋がるのか。
とにかくインターハイを目指してひたすら走る・走る・走る。
「八本あるレーンのうち一本だけ、ただ一本の赤いレーンが光って見える。俺の走る道。光る走路だ」
という風に終わっています。

尻つぼみのあらすじになってしまいましたが、最後のほうはみんなのことが気になって気になって。
速く読みたくてしょうがないのに、残りわずかなページ数を見ると終わらせるのがもったいなくて・・・
読み手まで一緒になって走った、やり遂げた、という充足感が胸いっぱいに広がりました。
これで終わりじゃないっていう余韻が何時までも続きます。

スポーツと友情と恋と家族愛、なんてありきたりの言葉では収まらない、本当に素晴らしい作品だと思いました。
「いい人ばかり過ぎる」とか「爽やか過ぎる」って評もあるらしいですが、良いじゃないですか。
どんな人の心の中にも必ずあるに違いない、ほんのわずかな「いい人」の部分を増長させてくれるはず。
爽やかで何が悪い!!
私はこの三部作を活字離れの息子に持たせました。
そろそろ日本語が恋しくなったなぁと思い始めたらお読みと。
by noro2happy | 2007-04-28 16:54 | book