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📖「対岸の彼女」角田光代(#1629)

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先に、同じく角田さんの「ドラママチ」を読み始めたのですが
こちらは短編の上、プレゼントしてもらったマイブック。
返却気にして焦って読む必要はない。
図書館から届いたコチラの長編を優先して読むことにしました。

角田さん好きなのに、なんで今までこれをスルーしてたかなぁ。
直木賞受賞作なのに。
あ、ひょっとしてそのせいか?
いや、そうじゃないわ。

「結婚する女、しない女、子どもを持つ女、持たない女、
それだけのことで、なぜ女どうし分かり合えなくなるんだろう」

これ、文庫版のカバー裏からの抜粋なんですけど
悪いけど、なにこれ、陳腐すぎて笑っちゃうわ。

いい意味で騙されてください。
もっともっと深くて繊細でじわ~~~っと迫ってくる。
とても良かったです。



一応主人公は同い年の小夜子と葵といえますか。
でもワタシが大好きになったのは魚子(ナナコ)です。
変わった名前だ(読みより漢字がね)と思ったけど、おっ、ホントだ。
「ななこ」と入力すると一発目で魚子が出てくるんですね。(脱線)

2人プラス、ナナコの3人の女性の話です。
葵とナナコは同じ高校の同級生。
このカップルの物語は全て過去のお話となります。

そしてそれから数年後の現在。
葵はベンチャー企業の社長となり、
そこへこれまた同い年の小夜子が面接を受けに来ます。


大人になってからの葵と小夜子の話を縦糸とすると
高校時代の葵とナナコの話が横糸。
この2つのストーリーがかわりばんこに紡がれていくわけです。
時には小夜子の回想場面が挿入されたりしながら
決して規則正しい模様ではなく
女同士の微妙な人間関係が織物の濃淡を表しているような
そんな味わいのある物語でした。

果たしてワタシはこの中では誰に一番近いのだろう
そんなふうに考えて読みましたけど、誰にも近くない。
誰にも近くないんだけど、3人が持つそれぞれのある部分は自分にもある。

とはいえ、年代的には中高生の部と30代の女性ということで
とっくのとうにそんな時代を終えてしまったワタシとしては
まだまだ、これからもっといろいろあるぜよと言いたい部分も無きにしもですが
フィニッシュの爽やかさや
随所に散りばめられた琴線に触れる言葉の数々に
やっぱりじわ~~~っといいもの読んだなって気がするのです。

ただ、驚くのは高校生の葵と
大人になってからの葵がまるで同一人物とは思えない所。
それほど性格が豹変してる(ように感じる)
そうさせたのはナナコでもあるんですけどね。

そのナナコの現在は語られていません。
でも葵はふたりのある約束を覚えているんですね。
それが「プラチナプラネット」という会社名につながるんだ。




by noro2happy | 2016-06-02 20:49 | book