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📖「共震」相場英雄(#1615)

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面白かったから読んで。
そんな軽いノリでは言えない。
重いんです。
でもおすすめです。
心がずーんと震えました。
まさしく共震。


東日本大震災から2年後、宮城県東松山市の仮設住宅で事件が起きました。
震災直後から被災地を飛び回り、ひたすら復興のために尽力してきた
宮城県庁職員の早坂が毒殺されたのです。
早坂を知る人は、あんなにいい人はいない。
恨みを買うような人ではないと、口をそろえて言います。
大和新聞社記者の宮沢もそう思った一人でした。

宮沢は真相を究明するために独自の捜査に乗り出します。
同時に警察側からは警視庁のキャリア、田名部も。
記者と警察がそれぞれの目線で真相に迫っていきます。
そこで明らかにされるのは
震災復興予算にたかるNPOを語る暴力団や悪徳企業でした。


一応、ミステリーではあるのですが
何となく、この人が犯人じゃないのー?
というのはわりと早い段階でわかります。
トリックは最後のほうで明かされますが
正直、そちらのほうもやや取ってつけたというか。
さらに、自供させるための取調室での裏ワザ?も
いくらなんでもという出来過ぎ感を拭えませんでした。
でも、そんなことなんてどーでもいい。

圧倒されるのは、ひたすら被災地の現実でした。
回想シーンの形で挟み込まれる震災直後の描写は生々しく、胸が痛すぎる。
読みながら全身が粟立ちました。

あとがきで、ミステリー部分を除けば、宮沢や田名部のエピソードは
著者自身の取材の中で得た実際の出来事と書いているように
言葉の一つ一つがグサグサと突き刺さる。
そして、復興を食い物にしようとするシロアリ共の実態!

とにかく三陸の現実に関心を持って欲しいという
筆者の熱い思いが全編にあふれていて、
5年という節目にこういう本に出会え、改めて「喝!」を入れられた思いでした。
本書はそれなりの心構えで読むべし!です。


「震える牛」感想文こちらにつづいて2作目ですが、
相場さん、ちょっと続けて読んでみようと思います。


おまけ:
中頃に出てくる「アテルイ」の話。
これはもしや、と思って参考文献をみたらやっぱり。
高橋克彦さんの「火怨 北の燿星アテルイ」だった感想文はこちら
大大大好きな本。

そうだ!蝦夷の子孫たちは負けないんだ!






by noro2happy | 2016-03-15 19:59 | book