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「ひりつく夜の音」小野寺史宜(#1562)

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お初の作家さんでしたが
ほう、ほう、これはまた。。。(*^^)v

タイトルが好き。
えっ?
「ひりつく夜」ってのがなんか、
レイモンド・チャンドラーみたいな。

文章が好き。
ワンセンテンスが短くてリズム感がある。
非常に読みやすい。

ストーリーも好き。
どれだけのすごいお話しが展開されるのか?
っていったら、別に。
ドキドキするわけでなく
ワクワクするわけでなく
むしろ地味目のたんたん系。
寄り添うのはクラリネットの調べ。

皆さんにおススメ!って声を大にして言えないけど
セピアなカラーが、ワタシ的にはかなりツボでした。


下田保幸、独身。
40も半ば過ぎのクラリネット奏者。
一員だったディキシーランド・ジャズのバンドが解散し
その後は週に2回の音楽教室の講師と
たまにお声がかかるジャズ喫茶で演奏しているだけ。
当然収入が少ないので食費は基本、一日500円。
スーパーの安売りデー&タイムは完全に頭に入っている。
週に1回の贅沢はファミレスでの朝食バイキング。
料金は700円台だけど4時間居座り、
昼食分まで食べ、新聞も無料でもらえる。

すぐにも破たんすることはないけれど
節約を続けてもせいぜい3年もつかどうか。。。
そこまでわかっていながらも
じっとして動かない下田。
ただただ、静かに漂うかのごとく。

そんな止まりかけたような時間が、
1本の電話により動き始める。
そこからゆっくりと進み始める再生への道。
息子かもしれない男の出現
思いがけず始まった新たな恋。
騒がず、急がず、逃げ出さず。

なんていったらいいか、説明しにくいのだけど
会話の流れ、人と人とが繋がっていく様子。
この辺り、抑えめのトーンながら
情景が目の前に浮かんでくるようで好き。

たった1年間の生活をのぞき見したにすぎないが、
迷い、諦め、揺れながらも冷静な下田が愛おしい。
で、そういうところに惹かれる己の感性が愛おしい。
って、なんじゃらほい(^_^;)





by noro2happy | 2015-11-25 19:21 | book