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「デフ・ヴォイス」丸山正樹(#1549)

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タイトル、耳慣れない言葉ですよね。
ワタシも初めて聞きました。

デフ(Deaf)とは英語でろう者のこと。
本書はミステリースタイルを取りながら
耳が聴こえない人たちの社会と
手話通訳士についても詳しく描かれています。

まず、主人公荒井の経歴がユニーク。
かつては警察署の事務職。
ある事件がきっかけで退職したものの就活は思うように行かず、
生活のために手話通訳士の資格を取ります。
しかし、荒井自身は自ら手話を学びたいと思ったことはなかったし
奉仕の精神も、福祉への関心も、かけらも持ち合わせていない。

荒井がなぜ警察をやめたのか。
なぜ手話が使えるのか。
その辺りはストーリーの中で、徐々に明らかになっていきます。

やがて、17年前の現職時代に関わった事件と
最近起きた事件、2つの殺人事件がつながり
荒井には再び思い出したくない過去が蘇ります。
いずれの事件も犯人とされたのはろう者でした。



職場にろう者の友人がいたこともあり
ワタシ自身も2年ほど手話サークルに通って勉強しました。
そこで学んでいた手話は「日本語対応手話」というものでした。
日本語の文法通りに手の動きを当てはめていきます。
これとは別に「日本手話」というものが存在していたのです。
文法とは全く違った独自の言語体系を持つものです。
そんな基本的なことも知りませんでした。

さらに憲法40条のこととか
ろう者が黙秘権の概念を理解することの難しさ
ろう者の両親から生まれた聴者を「コーダ」ということなど。
未知の世界のことを少しでも分かったことはよかった。
また、単なるミステリーに終わらないところが
語弊は有るかもしれませんが新鮮で面白かったです。

荒井もクセがあるけど、同じく扱いにくそうな何森刑事。
この個性豊かな二人で、今後シリーズ物になればいいのに。
なんて、勝手に思いました。






by noro2happy | 2015-09-18 21:54 | book