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「追憶のかけら」貫井徳郎

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「追憶のかけら」   ・・・・・#1406


主人公は、事故で妻を亡くした大学講師・松嶋。
妻はその少し前、松嶋の浮気が原因で
一人娘を連れて、実家に帰っていたところ。
理由が理由だけに妻の実家に預けている娘に会うのも気を使う始末。
しかも義父は松嶋の上司でもある大学の教授。
つまり、実家でも職場でも針のむしろ状態。

そんな時、松嶋の元へ持ち込まれたのが物故作家・佐脇依彦の手記。
佐脇は戦後すぐ自殺をしているのですが
ここにはその原因が書かれていました。
この作品を論文で発表し、名をあげるために
松嶋は佐脇の自殺の真相を究明しようと調査を開始します。
しかし、彼の行く手には得体の知れない悪意が次々と表れて・・・

***

不思議な本だったなぁ。

のっけからの軽いタッチは
今まで読んだ貫井作品とはいささか趣が異なる。
って、さほど読んでいるわけではないので
エラそうには言えませんけど。

へぇ、こんな感じでも書かれるんですね。
なんてサクサク読み進んでいくうちに
今度は旧仮名づかいの全く別の小説、というか手記が登場します。
これが完全に一つの作品として成り立っているばかりか、内容的にも面白い。

なるほど、なるほど
で、これからこの手記の謎を解いていこうというのね。
ようやくのミステリーバージョンに期待に胸膨らませ、
ページを繰っていくのですが・・・あれあれあれ?


以下ネタバレ。


その後は一転、二転、三転、四転。
いったい誰が何のために松嶋を陥れようとしてるのかさっぱりわかんない。
真相がわかったか、と思うとウソでした~、の繰り返し。
主人公が翻弄されるのと同時に、読んでる方も翻弄される。
だんだんイラッとしてきた。(・_・;)

なにより主人公がただ流されるだけで
なんとも頼りないというか。
常に誰かに指摘されないと分からないような国文学者って・・・
シャキッとしなさい、って喝を入れたくなるのです。

結局、これだけ大芝居を打って
グッチャグチャに引っ掻き回した割には
犯人もその動機もとってつけたようで
あまりピンとこなかったなぁ。

いくら大金持ちだってここまで出来る?
しかも息子可愛さの完全な逆恨みだし。
こんなおバカっ母に育てられた割に息子がまともだったのが救い。

かなり芝居がかってるので、いっそお芝居にしちゃったら面白そうだ。

結論として、小説の中の小説というポジションの
佐脇の手記が一番面白かったかも。




by noro2happy | 2014-03-10 23:18 | book