事実だけに重かった「トガニ」

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気にはなりつつも、観たら後悔しそう。
わざわざお金払ってやりきれない思いをすることもない。
そう思って避けてたのですが。。。

WOWOWでオンエアするってのを当日の新聞で知ってしまって。
しかもリアルタイムで観るには丁度良いお時間。
結局スイッチオン。
あーーー、この怒りのはけ口はどこへ持ってったらいいんだろう。



「トガニ~幼き瞳の告発」という韓国映画をご存知でしょうか。
2000年から6年間、韓国の聴覚障害者学校で実際に起きていた、
教員らによる生徒への性的虐待を基にした映画です。

郊外の聴覚障害者学校に赴任した美術教師のイノは、
寮の指導教員が女子生徒に体罰を加えている現場を目撃します。
やがて、その女子生徒が校長を含む複数の教員から
性的虐待を受けていることを知ったイノは、
その事実を告発し、子どもたちとともに法廷に立つ決意を固めるのですが。。。

「トガニ」とは坩堝(るつぼ)という意味だそうです。
よく「興奮のるつぼと化す」とか言いますが
本来は高温処理を行う耐熱式の容器のこと。
出口のない密閉した空間。
そうわかると、この映画の想像を超えた恐怖と痛みが
まさにこの坩堝なのだということがよく分かります。

これを観た誰もが、この教師たちを嫌悪するはず。
刑事も、弁護士も、裁判官すら腹立たしい。
こいつら、どうしてくれようと。
だから見ていても楽しくない。
辛い。
でも目が離せない。

しかし、ここまで怒りがこみ上げるってことは
それだけ演じた役者さんが上手だったってこと。
事実、あの双子(一人二役だけど)を演じた役者さんは、
映画公開後しばらく外出できなかったと
番組MCの安西水丸さんが話してました。

もちろんコン・ユも。
コーヒープリンス1号店のマスターとは思えません。
彼は入隊中に上官から薦められてこの原作を読んだそうです。
その後、自ら映画化をとアプローチしたと。

このイノという主人公も、実は弱い人間なんですよね。
妻に先立たれ、体の弱い幼い娘を母親にみてもらいながら
自分は地方へ単身赴任。
暮らし向きも決して楽ではない。

はじめは殴られていたミンスを見てもどうしたら良いか分からなかったし、
トイレでの叫び声を聞いても、深く追求しなかった。
校長には、イヤでも蘭の鉢植えを差し出すつもりだったし。
でも幼い娘のためにも、やっぱり人間としての良心を選んだんですね。
「この子たちの手を離したら、僕は父親には戻れない」
母親に言い切る姿に感動しました。

そしてなんといっても、子どもたち。
ほんとうに上手。
この映画はR15指定なので、子どもたちは
完成作品を見ることが出来ないんですって。
あとで見てどんな風に思うんでしょう。


この映画がきっかけとなり、事件は再調査され
障害者女性や13歳未満の児童への
性的虐待の厳罰化と公訴時効を廃止する法律、
通称「トガニ法」が制定されました。
実在の学校も廃校になり、
当初不起訴とされた加害者らは逮捕・起訴。

映画は社会を動かしたけど、ミンス兄弟はもう帰ってこない。
胸に迫ってくる映画でした。
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by noro2happy | 2013-11-05 20:44 | 映画