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乃南アサ「風紋」上・下

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★★★★
風紋(上・下)   ・・・・・#1115

文庫で上下巻約1000ページ。
ズッシリ読み応えあります。
それだけでなく、内容もズッシリ重い。
暗くてやりきれない部分もありましたが
でもなんか、結局ハイペースで読まされちゃたって感じ。

犯罪被害者に限定して言えば、
事件の加害者となった人間以外は全て、
被害者になってしまうのではないかと、
私はそんなふうに考えている。
そして、その爆風とも言える影響が、
どのように人の人生を狂わすものかを考えたかった。
--乃南アサ--
(風紋・上巻裏表紙より)

作者自身が語るように、この言葉が全てでしょう。
被害者の家族視点、あるいは加害者の家族視点。
それぞれの立場から描かれた小説は結構読んだ気がするけど
本書は事件に関わったさまざまな人たちの視点で描いた
まさに心情描写小説と言ったところ。

母親が殺された。
犯人は子供が通う学校の先生。
しかも母親とその先生とは男女の関係だったらしい。
事実がマスコミによって明らかにされるにつれ
被害者と加害者の家族は否応なく爆風にさらされてしまう。

犯人探しでもなく、ましてや犯罪への動機や心理でもなく。
たまたま関係者になってしまった人々の心の動きと言い切ってしまうには
すさまじく生々しい。
特に、ほぼ主人公とも言える被害者の次女真裕子の思いは痛いほど胸に迫ります。

被害者の家族が少しずつ立ち直っていくのに対して
加害者の妻のその後の転落が対照的。
逆じゃなくてよかった。
そして最後が余韻を含んだ気になる終わり方・・・
と思っていたらなんと、
事件から7年後のを描いた続編「晩鐘」の広告が最終ページに。

さっそく予約をしてしまいました。



by noro2happy | 2011-03-22 21:26 | book