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「ジーン・ワルツ」

c0096685_2218721.jpg★★★★
ジーン・ワルツ海堂尊:著

「チーム・バチスタの栄光」に始まり、海堂さんの医療シリーズ結構読んだなぁ。
今回は産婦人科が舞台。

不妊治療専門の曾根崎理恵と5人の妊婦。
それぞれが流産、人工授精、重度の奇形と問題を抱えています。
加えて理恵が代理母出産に手を染めているとの疑念も。
今の産婦人科医療が抱えるさまざまな課題が盛り込まれた、メッセージ性の強い作品でした。

実はワタシも思っていたんですが、マニフェストに掲げられた「子ども手当て」や「出産一時金」の増額、「高校実質無償化」。
いずれも字面だけ見ると確かに少子化対策かもしれません。
でも、そのための財源は?
子どものいない家庭にとって増税となることは分かりきっています。
特に、子どもが欲しくても出来ない人にとっては不公平感はぬぐえないと思う。
「産みたくても産めない」女性たちのための医療にも、もっと目を向けるべきなのでは。
高額な医療費で不妊治療をあきらめる人もいるのですよね。
産めよ増やせよと号令をかけるくらいなら、「産みたい女性」にも経済支援が必要だという理恵の言葉は説得力ありました。

本来は危険を伴う「出産」ですが、お産は病気ではないという認識があるように、無事に生まれて当たり前と思いがちです。
それが死産だったり母体が死亡したりしたら。
真摯に治療した結果がたまたま不幸な出来事となったとき、その責任を医師に転化して訴える患者。
それによって産婦人科医はどんどん減り、残された産婦人科医の勤務はさらに過酷になる。
当然リスクの高い産婦人科医を目指す医学生も減るという悪循環。
こういうところから改めていかなくてはならないのに。

政府が少子化対策に力を入れるのは「年金や医療など将来の社会保障は次代を担う子どもたちにかかっているから」というのは誰もが知っていること。
国家財政の破綻を未来の子供に押し付けるためという理恵の言葉もあながち過激とは言えませんよね。

理恵の行為に賛同するか否かは別として、いろいろと考えさせられましたわ。
by noro2happy | 2009-08-03 22:31 | book