乃南アサ「ウツボカズラの夢」

c0096685_21535491.jpg★★★☆
ウツボカズラの夢   ・・・・・#1131

未読の方はネタバレにご注意を。

母親を亡くしたうえに、父親は別の女性と再婚。
子供まで生まれることになり、居場所を亡くした未芙由。
会ったことはないけど、母の従姉妹である叔母さんの
「こっちで暮らしてみる?」の言葉に飛び上がるほど喜んで上京します。

どうせ貧乏我が家の親戚なんて、たかが知れているだろうと
期待もせずに訪れた先は、まさにデーンと構えたご立派な邸宅。
物語は未芙由がこの家の玄関に立ったところから始まります。

ジジババ世帯と、叔母さんとダンナさんと息子と娘が住む二世帯住宅。
一見何不自由ない暮らしのようですが・・・
ここからは乃南さんお得意の世界。
それぞれがてんでんバラバラの家族は、一路崩壊への道を突き進んで行きます。

そんな家族の様子を、客観的に眺めている未芙由。
居候の立場を守りながら、着々と自分の立ち位置を定めていきます。
逆らわず、目立たず、あたかも食虫植物のウツボカズラのように
えさとなるものが自然に自分の中に落ちてくるのをじっと待っている。

こう書くと、未芙由は計算高いしたたかな女のようですが
彼女はただ「幸せになりたい」と思っているだけ。
キャラクター的には好きにはなれないタイプだけど
別に彼女がこの家を不幸にしたわけではない。
もともと好き勝手なことをやっていた家族だし
なにより本人たちはちっとも不幸になったとは思っていないかも。
そういう意味では誰もがしたたかであり、ウツボカズラなんだと思う。

読後のあと味が悪くなかったのは、根っからの悪人が登場しなかったからかな。
残念ながら、波乱万丈、ドラマチックなストーリーのわりには奥行きがなく、
「風紋」や「晩鐘」の心構えでのぞむと、やや肩透かしの印象ではあります。

できればこの家の長男の嫁となり、
最終的に女主人となった未芙由のその後が読んでみたい。
はたしていつまでウツボカズラでいられるのか。
新たなウツボカズラが登場しそうな気もするしね。
散り散りになったほかの家族のことも気になる。

「下流の宴」風にドラマ化されればかなりおもしろそう。
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Commented by kiraln at 2011-07-22 15:22
乃南さんは作品の幅を広げる為か
ライト系の小説を書かれるのですが滑っている感が
往年のファンとしては感じます。

”美芙由に腹正しい思いを抱く=筆力” は流石だなぁ~と思いましたが
不快感が残った小説でした。
でもドラマ化したら世間受けはしそうですね。
(引き受ける役者さんは大変だろうが)

前から伺いたかったのですがnoriさんの好きな作家さんは誰ですか?

母の事を心配頂きありがとうございます。
お陰様で。。。と言いたいのですが芳しくありません。
股関節の痛みはなくなったそうですが筋肉の退化が著しいのか
膝が思うように曲がらないようで凹んでいる様子。
でも”股関節の痛みよりはマシ”と強がっております。
母は 手術=完治 と思っていたので不本意さも募るのでしょう。
noriさんではありませんが入院仲間と励ましあいながら
日々を過ごしております。
(こういう時 同志の結びつきは強いようです)

Commented by noro2happy at 2011-07-22 23:53
>kiralnさんへ☆
私はそれほど未芙由に不快感を感じなかったの。
妊娠検査薬の小細工はちょっとねーだったけど。
しかし、場面が変わると一気にお話が進んでしまっていて、過程の段階が見えてこなかったので何でダンナさんや、息子までって感はありました。
ipod少年はどうしたんだろうね、その後。

好きな作家さんですか?
その時々で気に入った小説にあたると、しばらくその人にはまり、好きな作家になるのですが・・・
百田尚樹、海堂尊、万城目、伊坂、白川道、今野敏、有川浩などなど。
でも一番好きなのは上橋菜穂子さんかなー。
新作出してくれないかなぁ。

リハビリで一番辛かったのは、正座の練習でした。
膝と言うより、いつも皮膚がちぎれるのではと思っていました。
いつもギャーギャー叫んでましたわ。
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by noro2happy | 2011-07-21 22:04 | book | Comments(2)